「
永遠の森 博物館惑星
」
永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)
菅 浩江
¥ 798
早川書房
在庫あり。
受賞一覧
2001
年
第54回日本推理作家協会賞
長編及び連作短編集部門 (
菅浩江
)
第32回星雲賞
国内長編部門 (
菅浩江
)
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amazonユーザーによるレビュー
面白かったなぁ…
出版された当時に呼んだのでもう大分記憶が曖昧だけど、面白かったですね。
まぁ趣味嗜好に合ったといってしまえばそれまでなんですが(笑)
ストーリーの構成力であったり、取り上げる題材が人によっては失笑を誘ってしまいそうな点に難はある気がしなくもないですが…。それを補う豊かな想像力でさらっと読ませてくれました。
一読の価値はある一冊だと思います。
善人はなかなかいない
星雲賞と推理作家協会賞のダブル受賞!との事で期待し過ぎたか。ミステリとしてはヒネリがなく、全てのエピソードが予想通りにオチ過ぎる。SFとしては素直過ぎて私の欲しいサプライズがない。私にとってのSFは、人情で事件が解決しない世界で如何に人間が自分の知性を武器にして闘っていくかを描く物語、と定義しているので、本作の様に事件解決の手段に“情”が深く関わると、空想“科学”小説とは感じられなくなるのだ。そして、情が通じない世界でこそ、奇跡的に人間性が勝利する瞬間に心揺さぶられる。しかしこの小説ではあっさり人間の“優しさ”が勝利する。私にはこの感じが何とも薄気味悪い。というのも、優しさが何より大切な世界に登場した悪役を、終始一貫して嫌な奴と決めつける描写に首を傾げたからだ。どんな人間にも多面性があり、主人公サイドから見れば困った人でも、他のキャラは違う評価をしている、というような懐の深さがない作品で優しさや人間的な感情の尊さを云々するのはあまりに独善的と感じた。その人間味を讃えられる主人公だって、見方を変えれば学芸員としては、あんまり使えない人ってだけな気もする。SFというジャンルの一番の強みをわざわざ殺している小説だと思う。
なんでこれが推理作家協会賞?
本書はSF作品であるが、第54回「日本推理作家協会賞」受賞作なので、SF設定のミステリー作品として期待して読んだが、ミステリー作品としては「凡作」で、なんでこの程度のレベルで受賞したのかまったく理解できない。
よっぽどこの年度の候補作が不作揃いだったのだろうが、それなら「受賞該当作品なし」にすればよかったのにと思う。
また「レビュー」の高評価揃いも理解できない。
同賞受賞作品として、つまりミステリー作品の傑作として期待して読んで、ガッカリしたという人は他にいないのだろうか?
私はSF作品については門外漢で、本書をSF作品としてまっとうに評価することはできないが、大して面白いと思わなかったので、素人には理解できない、よっぽどのマニア向けの作品ではないかと思う。
優しく切ないSFラブストーリー
▼STORY
地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大衛星〈アフロディーテ〉。
そこには既知宇宙すべての芸術品が収蔵され、データベース・コンピュータに
神経接続された学芸員たちが日々、美の追究に勤しんでいた。
▼EXPLANATION
「美」という概念を分析し、解明し尽くしたいという欲望と、
「美」に無条件に身を委ね、一体化したいという切望――。
そうした相反する人の想いの狭間に立つ本作の主人公・田代は
毎回苦悩し、途方にくれながらも、「美」の奇蹟とそれをもたらす
人間存在の不思議に魅せられていきます。
浦沢直樹『MASTERキートン』を彷彿とさせる味わい深く、
洗練された人間ドラマがそれぞれの短篇でなされる一方、
連作全体が、作中ほとんど姿を見せない田代の妻の存在を
軸に、切なく美しいラブストーリーとしてまとめ上げられています。
特に、ラストシーンは出色で、SF的仕掛けが田代たちの情動に呼応し、
有機的に連関していく様は、ちょっと他に類を見ない鮮烈な情景となっています。
上手く説明できないけど、とても綺麗ね
既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する
遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。
人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに
笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し
「可哀想だって思うことと、哀れに思うことって、違うわよね」
と胸中を吐露するネネに切なくなったり、
データベースと直接接続する学芸員の特権に酔い痴れて
「反省?なんですかそれ?僕エリートだし」
といわんばかりに幼稚なマシューに心底むかついたりと
魅力的かつ個性的なキャラクターにはすんなり感情移入できる。
どこの職場にもある上司や同僚との軋轢や人の話を聞かない困ったちゃんの後輩など
丁寧に描かれる人間関係の機微が固くなりがちな芸術論の緩衝材となり
華々しくアカデミックな会話に絶妙のユーモアを添える。
中でも「ラブ・ソング」は秀逸。
ラストシーンの美しさは圧巻。
芸術を難解に語る言葉をもたない妻が漏らすたった一言の「綺麗ね」を軽んじていたと
主人公が猛省する場面に思わず貰い泣き……
主人公の美は対象物以外を夾雑物として除く狭量な美。
妻・美和子の美は対象物以外のものをも含み全体を成す豊かな美。
だからこそ主人公は美術品の鑑賞中に隣にいる妻を忘れ
美しいものに接した妻は「愛する人とこれを見たい」と望む。
「貴方みたいに上手く説明できないけど、とても綺麗ね」
抱擁する手は包容する心。
美しいものを美しいと素直に感じる心があり、
愛する人が隣にいれば、
世界はきっと美しい。
愛することとは互いに見つめあうことではなく同じ方向を見ることだ。
ラストシーンの二人にその言葉を捧げたい。
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