キリンヤガ

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF) キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)
マイク レズニック
¥ 861
早川書房

在庫あり。
受賞一覧
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amazonユーザーによるレビュー
ユートピアは 「どこにも無い場所」という意味平均評価:5
 第2エピソードの「空にふれた少女」を読んで不覚にも涙してしまった。もともと独立した短編だったので、厚くて高いのでまずはお試しにこの章を立ち読みででも読んで買うかどうか決めてもいいと思いますが、本屋で泣いたりしたらかっこ悪いですね。
 全体の半分くらいまで読み進めたところで、暗い気持ちになって、最後の「古き神々の死すとき」はワーグナーの「神々の黄昏」のような荘厳さを感じました。

 ユートピアは「どこにも無い場所」という意味だと 聴いたことがありますが、どこにも無い場所を求める物語は現実の社会の鏡として大変興味深いですね。(逆ユートピア小説も同じだと思います)
 そういう点SFという形式は大変都合が良いのでしょう、(逆)ユートピア小説としては「1984」に並ぶものと思いました。

 なお、この小説を書くに当たっての2つの条件が、オーソンスコットカード編集者から作者に出されたそうです。それは 「小惑星を借り受けた人がユートピアを作れること、いつでも出て行きたいときに宙港に行けば出て行けること」「物語は内部のものによって語られること」だそうです。そこからこれだけの小説ができるのですから本当に大したものです。

 we need perpetual change!
ケニア人が読んだら怒るんじゃないか平均評価:3
このSFもまた「寓話」であるなら、実在の地名等は使うべきでなかった
のではないか。「偏見」とか「西洋中心主義」などの言葉が頭を掠めて
あまり入り込めなかった。
寓話。純文学要素が強い。大傑作。連作短編集です。平均評価:5
現代でもある、昔ながらの伝統を守る森の少数民族の文明化を取り上げた寓話集。
都市化の波にさらされた少数民族の末裔達が、敢えて、現代の快適な生活を捨て、科学のない世界(キリンヤガ)を再構築するという極めて面白い設定となっている。
文明社会で学び、博士号さえ持つ主人公が、科学の力を借りながら、未開な部族を教え諭し、導いて行く。
しかし、そこには様々な葛藤が生まれて来る。
「アイデンティティ(存在証明)を求める若者」、「男女平等を求める少女」、「偶然にキリンヤガにやって来たが、目の前にいる病人を思わず治療してしまった医者が引き起こす騒動」、「未開民族を私利私欲で支配しようとする文明人の訪問」、「自然に生まれる発明」等の難問に主人公は真摯に挑み、敗れて行く。
文明社会以外の社会を呑み込んでしまう文明社会の恐ろしさ、現在の暮らしの尊さは失ってみなければ分からないこと、進歩は自然なことで押し留められないこと等が哀愁に満ちて描かれる。
安易な文明批判ではない、深さを持つ作品。SFであるが、一般の小説として読まれても全く問題のない傑作です。
ヨーロッパ人の書くケニア平均評価:3
とても美しくて、すばらしい作品だと思う。そして、SFというジャンルにありながら、SF臭さを感じさせる部分が本当に少なかった。感動したのだが、評価は3とした。

理由は3つ。

一つはキユク族の文化がヨーロッパの文化に負けてしまうという結末。祈祷師が、頭がいいはずなのに最後には頑固な老人として描かれてしまったのが、とても残念だった。「大きな利益には大きな代償がある」という内容のたとえ話が出てきたら面白かったのにと思わざるを得ない。

一つは祈祷師がコンピューターを使っていたこと。キユク族の文化を守るために自らが実践せねばならないのに、その根底を覆してしまっているように思える。

一つはキユク族のユートピア「キリンヤガ」の行く末が書かれていないこと。作品の結末はヨーロッパの文化に侵食されたケニアが舞台となっている。唯一の祈祷師である主人公が「キリンヤガ」を出てしまったのだから、行く末は「ケニア」となるという暗示だと思うが。

最終章に出てくる公園の老人たちを見て、6章の教訓が生かせれば、もっと面白い話になったかもしれない。
この素晴らしさには恐ろしささえ感じる。平均評価:5
ユートピア惑星「キリンヤガ」の設立からその後を淡々と書き記した、まるで見てきたかのような記述が恐ろしく、同時に魅力に溢れて面白い。連作短編の形をとり、どれもが秀作で甲乙は付けがたいが、表紙イラストにもなっている「空にふれた少女」がやはり1番素晴らしい。読んで損はなし。必ず得られる何かがあります。

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