『パイの物語』(パイのものがたり、Life of Pi)は、ヤン・マーテルによる2001年のファンタジー冒険小説である。インドの少年パイが船でカナダに渡る途中に遭難し、一緒に輸送されていたベンガルトラのリチャード・パーカーをはじめとする動物たちと共に227日間を過ごすという物語である。
小説は2001年9月にクノッフカナダで出版される前に、少なくともロンドンの5つ出版社によって拒否された。その翌年、イギリス版はブッカー賞を受賞した。また2003年、CBCラジオの『Canada Reads』で、作家のナンシー・リーに選ばれた。
「覚え書き」には「命の輝きに関しては、モシアル・スクライアー(Moacyr Scliar)氏によるところが大きい」と書いてあり、スクライアーの“Max and the Cats”を基にしている。スクライアーはブラジル文学の中堅作家で、マジックリアリズムを駆使した寓話的な作風で知られる。この長編はベルリンで動物園を経営していたユダヤ人一家がナチスの脅威から逃れるためにブラジルへ脱出するさい、船が沈没し、一人生き残った主人公が豹とともに漂流する話である。